甲虫

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genjibotaru-mesu

ゲンジボタル ♀ (2008  CG  高さ21cm)

Genji Firefly/Luciola cruciata

ホタルの発光などは、紙に手描きより、まさにモニター上での制作・鑑賞にうってつけの テーマではないでしょうか。

ホタルや草をより暗く抑えて光の効果を強調したいところで すが、図鑑屋としては体の説明が第一義。詩的演出はほどほどに、となります。

実験的 に大きく掲載しましたが、絵ハガキ程度の小品です。こんご縮小するかもしれません。

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ゲンゴロウ  (2006 CG 幅22cm)

Cybister japonicus

Diving beetle, Water beetle

体長36~39mm。北海道~九州 に分布。

後脚をオールのように使い、たくみ に泳ぎます。水面でお尻の先から 取り込んだ空気を、背中(羽の下) にためて呼吸をするアクアラング 方式。オスの前脚(この図)は吸 盤となって、メスの体に吸い付きま す。

水槽でも簡単に飼えます。体の向きかげんで黒-緑-赤銅に輝き、所 狭しとめぐるさまに、きっと元気をもらえますよ。

ただし、肉食でえらくドウモウ。1 頭が死ぬと、あっというまにボロボ ロに。最後の1頭だけが、かろうじ て標本として残ります(あくまでも 小生の場合ですが)。

この絵、CGですが、中脚の毛だ け手描きです。

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ゲンジボタル   (2004)

Genji Firefly/Luciola cruciata

体長 12~18mm。本州~九州に分布。

清流にすみ、岸のコケに産卵します。卵は次第に発光するようになります。

ふ化した幼虫は川に入り、カワニナ(貝)を捕食します。

冬を越して成熟した幼虫は、春の雨夜に水を出て、光りながら岸をのぼります。

土のすき間にもぐり込むと、土マユをつくり、その中で蛹になります。ここでも光り続けて います。

東京では6月に羽化が始まります。成虫は餌をとらず、夜露を口にふくむだけです。

寿命は2~3週間といわれ、この間に求愛・交尾・産卵をすませなければなりません。

狂おしい恋のシグナルは、どんより・無風の闇でピークを迎えます。

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アズキゾウムシ   (1995 幅17cm)

Callosobruchus chinensis /adzuki bean beetle

世界共通種、体長2-3mm。

幼虫時代をアズキ内で過ごし、羽化したメス成虫がグルーミングしているさまです。(オスとは、触角の形状が異なります。)

著者に150頭以上のアズキゾウムシと、餌のアズキを分けていただき、累代飼育する中で、この決めポーズとしました。

脱出口の左の卵(径0.6mm)について、「受精卵で幼虫の糞が詰まっている状態。よく観察しましたね。」とお褒めいただきました。

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石井象二郎 著「虫に食べられないアズキを求めて」 1995年08月 偕成社 409p ISBN:4-03-745020-8

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 ホタル3種  (1990)

Three kinds of fireflies

日本の代表的な3種の発光パターンを描いています。

中央=ゲンジボタル・・・飛翔しながら発光しているのが♂で、葉上で発光しているのが♀。(以下、同じ)

左=ヘイケボタル・・・ゲンジよりも発光間隔が短くせわしない(北海道にも分布)。

右=ヒメボタル・・・ストロボのように発光。

ゲンジボタルの場合、明滅周期に地域性(“方言”)があることが知られています。

西日本で2秒間隔、東日本では4秒、これに中間型が加わります。

発光は化学エネルギーによる“冷光”です。

50種ほどある邦産ホタルのほとんどの卵・幼虫・蛹も光りますが、成虫が活発に光る種はむしろ少数派な のだそうです。