★00s 雑木林とギフチョウ (7点)
雑木林とギフチョウ (2003 幅27-33cm)
Grove of miscellaneous trees
& Luehdorfia japonica /Japanese Luehdorfia
黄色いギフチョウが、カタクリの花を訪れています。
タチツボスミレには、同じく花蜜を求めてミヤマセセリが寄ってきましたよ。
ギフチョウはアゲハの仲間ですが、タテハチョウほどの大きさしかありません。
また、春にのみ出現、その可憐な姿から、”春の女神”とも呼ばれています。
ある6月の月山(山形県)。眼下から雪渓を駆け上がって来たのが初対面。思いも掛けずにいた分、 感激もひとしおでした。
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2 春・産卵 Spring
「この紋所が目に入らぬか!」・・・葵の御紋、ランヨウアオイ(カンアオイの一種)に産卵しているシーン。
地表に、褐色・鼓(つづみ)形の花をつけています。
まっくろ毛虫の幼虫たちは、集団でこの葉を食べて成長します。
奥の桜の下で弁当ひろげたいな、なんて夢想しながら描きました。
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3 新緑 The fresh green
もぐもぐ、むしゃむしゃ・・・・。たくさんのチョウやガの幼虫が若葉を食べて育っています。
エノキの葉では、オオムラサキやヒオドシチョウ。ヤマザクラでは、オオミズアオ。
クヌギやコナラでは、オトシブミ(甲虫)、ヤママユ、アカシジミ、オオミドリシジミ、ミヤマセセリ。
そして、ランヨウアオイの葉をギフチョウの幼虫が食べています。
もぐもぐ、ごっくん・・・・。小鳥のひなたちも成長しています。
1羽のシジュウカラが1年で食べる幼虫は、12万匹を超すそうですよ。
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4 夏 Summer
下草刈りは雑木林の維持に欠かせない作業です。林内が明るく保たれ、風通しもよくなります。
ヤマユリさんも涼しそう。広い空間は昆虫たちの活動範囲も広げます。
クヌギやコナラからしみ出た樹液のにおいにひかれて、人気者のカブトムシやクワガタムシが飛んできます。
カナブンやスズメバチ、国蝶オオムラサキ(オス、メス)、キマダラヒカゲなどいろいろです。
ギフチョウは落ち葉の下で蛹(さなぎ)になっています。
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5 秋の実りと虫 The harvest-seazon and insects
色鮮やかなアケビやガマズミ、ヤマブドウにムラサキシキブ。
そしてクヌギやコナラなどのドングリも、鳥や獣のえさになります。
おいしいクリタケ、ムラサキシメジ、ウラベニホテイシメジは朽木や落ち葉を栄養にしています。
カブトムシの幼虫やミミズ、ヤスデ、ワラジムシなどの土壌動物は落ち葉を分解し、土を耕します。
ウスタビガが羽化してマユにつかまっていますよ。秋に活動し、卵で冬を越すのです。
飛んでいるキチョウは成虫のままで、ギフチョウやカラスアゲハは蛹でそれぞれ冬を越します。
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6 冬の作業 Works in winter
集めた葉からたい肥を作るために、落ち葉かきをしています。
伐採した木は、シイタケ栽培の「ほだ木」になります。
また、切り株からは新たな芽が伸び、これに「もやわけ」や下草刈りなどを施し、
適切に管理することで木の再生を促します(「萌芽更新」といいます)。
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7 春・羽化 Spring
ギフチョウの羽化が始まりました。しわくちゃのチョウが枝をよじ登り、羽を伸ばしていますよ。
明るく開けた林にはタチツボスミレ、ミツバツチグリ、アマナなどが咲き競います。
コナラの切株にも新しい枝が伸びていますね。
雑木林が失われたり、放置されて荒れると、ギフチョウも姿を消してしまいます。
手入れの行き届いた雑木林こそが、理想的なすみかなのですね。