ニワトリ

niwatori_suzume_hato

ニワトリ (1983 幅52cm)

郷里の実家では、ハトやハシボソガラス、セキセイインコとともに、ニワトリも二度ほど 家族の一員となっていました。ニワトリにはさまざまの羽色がありました。産卵成績 が振るわなくなってきたある日、幾羽かは羽をむしられ食卓にのぼり、原始狩猟一家 のおなかを満たしたのでした。

上の絵は白色レグホンですが、ヒヨコはブロイラーがモデルです。前作ではヒヨコが 主役で、卵歯(らんし:卵殻を破るための、嘴端ちかくの突起)を拡大図示する必要が ありました。そのため、孵化当日のヒナを、千葉県の養鶏業者にわけてもらったので す。真冬でしたから、飼養には気をつかいました。アトリエは即、運動場に。

成長したニワトリたちとアヒル。所構わず産みちらかされた卵を捜し集めては、残らず 腹に収めました。しばしば家に上がりこんで電話をかけてるヤツ、スズメをパクリ!し てるヤツも。ひたすら菜っ葉をきざむ毎日でも、世話をすれば、図鑑に載っていない発 見続きで楽しいものです。

ブロイラーもレグホンも、抱けば哺乳類のぬくもりと爬虫類のつめたさを、併せ持って いました。なついていても埋められない距離を感じました。少し似て「孤高」といわれ るネコの一撃で落命したチャボもありました。いまは、みな、いませんが、食べたわ けではありません。