ハエ

ヒトスジシマカ 吸血  (2003)

ヒトスジシマカ

郷里で蚊といえば薄茶色のアカイエカでした。ここ東京郊外では、このヤブカの代表 選手、ヒトスジシマカがふつうです。白黒の斑点が肌に止まれば、もうかゆい →か ゆいと見たら吸っている →見ればなおさらかゆくなる。墓地の花立てやタケの切り 株、ちょっとした水たまりにも発生します。我が家では、ボウフラまでは見てみぬふり 。オニボウフラ(蛹)になった時点で水を替えますが、このタイミングを逃してしまうこと も、ままあります。乾燥標本では複眼がひしゃげてしまうため、たくさん採集して描き ました。

上の図は、口を皮膚に突き立て細い口針で吸血し、卵巣が成熟する過程を示し ています。吸血時に、凝固を防ぎ麻酔をかねた唾液を出します。この成分がかゆみ を引き起こします。しかしながら、それのどこが“麻酔”と呼べるのでしょうか?かゆみ ゆえにこそバレてピシャリ!  「・・・鳴かずば雉(きじ)も 射られざらまし」とか。

ヒトスジシマカ ♀

小生を吸血中のヒトスジシマカ 。

首に縄つけてペットにできまし ょうや?(撮影;’06/7月 )

ヒトスジシマカ ♂

         オスは触角が羽毛状。

花の蜜 などを吸い、吸血はしません。 右はパンを食事中。(撮影;’04 /7月)

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イエバエ -3連- (1990 幅50cm)

Musca domestica / Housefly

感覚器官(嗅覚と味覚) 1:空気中のにおいを触角でキャッチし、飛び立つ

2:餌に到着すると、あしの先で成分をチェック

3:たたまれていた口を伸ばして唾液で溶かし、やすり状の辰弁(しんべん)でなめ取る

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イエバエ・・・それは世界中に分布し、わが日本でも最も普通で不潔な嫌われ者。

その割に、東京都内の住宅地で見かけることは、まれです。ですから、食堂や公衆トイレ、あるいは地方で一頭見つけるとすかさず採集となります。そこまでは良いけれど、虫の種類を特定するには比べる手本が必要です。

作画にあたっては、ハエ研究のオーソリティーS先生に標本を3体頂戴し、また性別の鑑定を大御所H先生にお願いしました。厚く御礼申し上げます。

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